赤司と降旗が長距離走者として一緒に走る話です。赤降のような降赤のような。
視覚障害を負った赤司がブラインドランナーで、降旗がその伴走者を務めます。
暗い話ではないと思います。
降旗
二十代なかば。市役所職員。高校時代、リコのメニューについていくための体力づくりとして走りまくっていたら知らない間に長距離に強くなっていた。長い距離ほど強い。短距離は平凡。大学以降は長距離走に転向。陸上部には所属せず、時折リコに相談しつつ基本的にひとりで練習に励む市民ランナー。地味に頑丈で故障しにくく、その意味で長距離走の素養に恵まれている。社会人になってからもひとり黙々とトレーニング。ロードレース中心。普通の社会人なので練習は量より質。黒子に騙され(?)赤司の伴走者として一緒に走ることになる。それまで伴走経験はなかった。就職後一人暮らし。
赤司
二十代なかば。大学生。高3で目を患い、重度のロービジョンに(ほぼ失明)。視力は手動弁。ゆえにかつての能力はない。身障1級。目以外は健康。体力があり余っている。視力低下後、長距離走に転向。非常に優秀だが、視覚障害のためひとりでは走れない。速すぎる&練習がハードすぎるため伴走者がなかなか見つからず、降旗に依頼したわけだが、その真意は……? 性格が丸くなったかもしれない。いまだに大学生なのは、リハビリのため入学を遅らせたのと、通常の年数では単位を取りきれないため。成績自体は優秀。大学以降は一人暮らし。
※手動弁:0.01未満の視力の表し方。目の前で手を動かすとそれがわかる程度。
赤司の病気について
実在する疾病を想定していますが、病名は出さないと思います。展開の必要に応じて症状を書いたりするかもしれません。発病と赤司の特殊能力?との因果関係はありません。視力が低下した結果として能力が使えなくなったという感じです。
以下簡単な構想。見切り発車なので書き切れるかはわかりません。
高校卒業後バスケを辞め長距離走をはじめた降旗。才能より努力の比重が高い種目で、凡人の自分が自力でどこまでやれるか試したかった。市民ランナーとしては優秀だが、それより上位には行けない。あるとき、視覚障害者マラソンの伴走者としての依頼が舞い込む。経験がない降旗は、相手を転ばせたり怪我させたら怖いと尻込みするが、紹介者の勧めで依頼主と会うことに。集合場所のトラックに現れたのは、赤司だった。目を悪くしてね、と以前と変わらない面持ちで言う。ランナーとして実力の高い赤司は優秀な伴走者を探しており、降旗に自分より速く走れと求めるのだった。実際に一緒に練習をしてみると、赤司は非常に速かった。視覚のディスアドバンテージがなければおそらく降旗よりずっと速い。彼の走力を最大限に引き出せる走者はトップアスリートだろうが、実力者は伴走より自分の走りを求めるのが道理。降旗は自分に彼の伴走が務まるのかと思い悩むが、求められるまま練習に応じる。一緒に練習するうちに降旗のタイムも向上し、トップと張り合えるくらいになる。比較的大きな大会と視覚障害者の大会がそれぞれ開催されることになった。日程及び場所的に両方の参加は無理。降旗は周囲から通常の大会での活躍を期待され、ひとりで走ってみたい欲求を覚えるが、赤司と大会に出たい気持ちもある。悩んでいる降旗に赤司が言う。『伴走者に栄誉はない。僕はきみに与えられるものがない』――