忍者ブログ

倉庫

『黒子のバスケ』の二次創作小説置場。pixivに投稿した作品を保管しています。腐向け。主なCPは火黒、赤降。たまにシモいかもしれません。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

誠凛高校のアホな日常

「男子中高生の悪ノリ」と同系列の話です。黒子、火神、降旗が引き起こしたくだらない事件。時間軸は行方不明。誰得なのかわからない話。

 

 誠凛高校男子バスケ部主将、日向は最近とみに悩んでいた。部内の風紀の乱れについて。といっても皆向上心の塊で、スパルタカントクのしごきにもめげずストイックに練習に取り組む自慢の仲間たちである。学業が追いついていない者も多少いるが、素行不良の部員はいない。少なくとも他人に危害を加えるような愚か者はいない。……が。
「黒子、火神、降旗……あのトリオ、なんとかならんか。あいつらのふざけ合いは最近目に余る」
 日向は大きなため息をついた。名前を出した下級生三人は、別によそで悪さをするような生徒ではないのだが、このところなんというか……やたらとべたついている。こう、体をべたべた触り合うような。いちゃいちゃと表現してもいいかもしれない。というかもろに性行為の真似をして遊んでいる。救いなのかさらに悪いことなのかはわからないが、本人たちの意識はあくまで遊びであり、自分たちの行為がともすればとんでもなく卑猥であるとはまったく感じていないらしい。確かに、事情を知ってから観察すれば、その雰囲気がいたって平和であることがわかる。お花畑やちょうちょの幻が見えそうなくらい、のどか極まりない。しかし、最近はエスカレート気味で、練習終了後の体育倉庫から黒子と火神の喘ぎ声が聞こえてきたときは、卒倒するかと思った。どうせ例の遊びだと十二分に予測しつつ、震える手で扉を開くと、案の定練習着をきちんと来たまま床に座り込む三人の姿があった。黒子の発案で、セックスの声真似をしていたらしい。降旗は効果音係で、わずかに水の入ったペットボトルや衣擦れ音用の手拭いを構えていた。練習中、珍しくタオルではなく日本手拭いを使っていると思ったら、こういう魂胆だったらしい。三人の間には、気合の入ったことに台本まで用意されていた。あとで聞いたところによると、黒子の自作という話だった。もちろん説教行きである。というかその場で叱りつけた。しかし暖簾に腕押しというか、三人は日向の剣幕に委縮していたものの、何がそんなに悪かったのだろうかというように、きょとんとした顔で、反省のはの字も窺えなかった。まあ、自分たちの行為をただの遊びととらえている以上、反省のしようなどないのかもしれないが。確かに被害者はいないし、声で演技をしているだけなので、害はない。ないのだが……やはりそういうのはどうかと日向は思うわけである。
「あの馬鹿どもは……。なまじ実害がないだけに性質が悪い。注意しようにも、駄目だと非難するこっちの思考回路がいかがわしいみたいな雰囲気になるだろうが」
「まあまあ。ただのじゃれ合いでしょ。かわいいもんじゃない。こないだうちのクラスでもその手の馬鹿やってる子たちいたよ? バナナでポッキーゲームとか。事故ってぶちゅってなっちゃったんだけど、それはそれでおもしろかったらしくて、盛大に笑い転げてた」
 机を挟んで向かい合い、昼食後のデザート代わりの豆乳を吸いながら、リコが呑気に答える。ほらいまも、と指さす方向には、名前と顔の一致しない同級生の男子三人が輪になっており、そのうちひとりが剥いたバナナを舐めていた。食べるのではなく。サイドのふたりはイエーッ、とか、やるぅ、とか囃し立てていて、その周囲ではくすくすと微笑ましそうな笑いが漏れていた。が、日向は露骨に眉をしかめた。
「……ああいうの、流行りなのか?」
「ていうか、年齢的にそういう時期なんじゃない? 男の子って、単独ではおとなしくても、仲いいの何人か集まると途端にアホになるでしょ」
「いや、でも……」
 リコに相談してみたはいいが、真面目に取り合ってはくれない。彼女によれば、若気の至りとも呼べないような、ただのおふざけであるらしい。しかも、珍景でもなんでもなく、学校生活を送っていればそこそこ見かけるとのことだ。日向は真剣に、この学校大丈夫なのかと思った。しかし他校の様子など知る術はないので、このような状況をおかしいと申し立てるに足る論理的根拠はなかった。なので、一本のバナナを三人の人間が舐め合う光景についても、何もかもが狂っていると感じる一方で、どこがどうおかしいのか論理的に説明せよと言われても困ると思った。あの名も知らぬ三人は、世界のどこかの地域ですでに滅びた民族がバナナを食べるときの作法を再現している可能性だってあるわけだ。
 とりあえず日向が思ったのは、自分は高校選びを間違えたかもしれない、ということだった。それでも後悔しない程度には、この学校のバスケ部を愛しているわけだが。

*****

 そんな悩みが晴れないまま過ごしていたある日。
 化学室や美術室など施設系の教室が入っているフロアは他の教室と離れていることとそもそもの利用者数が少ないことがあり、人気があまりない。午前中に物理の実験を行った際、資料集を置き忘れたらしいことに気づいた日向は、昼休みに物理室へと探しに行った。案の定、自分が座った席の荷物入れに資料集が取り残されていた。自分の持ち物であることを確認したあと、脇に携えて部屋を出る。と、物理室の隣、フロアの最端にある男子トイレから何やら物音と人声が聞こえた気がした。非常にアクセスが悪い場所にあるため、このフロアで授業を受けるか、文化系の部活でこのあたりを使用する生徒以外、利用者がいないトイレだ。掃除の時間でもないのに騒々しいことを不審に思い、そろそろと顔をのぞかせると、中から聞き覚えのある声と、知っている名前が飛んできた。
「やっ、あ、ちょ、ちょっと……火神くん! だ、駄目です、それは!」
「落ち着け。暴れるな。ほんとに抜けなくなるぞ」
「黒子、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないです」
 黒子、火神、降旗のいつもの三人でお送りします、な現場に出くわした
 聞いた瞬間、日向の胸には、何も聞かなかったことにしていますぐ立ち去ろうという賢明な判断と、あいつらを野放しにしてはなるまいという崇高な使命感がせめぎ合うこととなった。
 どうするべきか迷いつつ、気配を殺して状況を窺う。三つ並んだトイレの個室のうち、窓際とその隣、つまり真ん中はドアが閉められている。中央の個室では、降旗が仕切りをよじ登って上から隣の個室に首を突っ込んでいる。おそらく便座の上に立っているのだろう。黒子と火神は降旗が覗き込んでいる壁際の個室の中にいると思われる。
「か、かがみくん、もっとゆっくり、優しくしてください」
「してるよ。これ以上どうすりゃいいってんだ」
「そーっと、そーっとです」
「火神、あんま乱暴にすんなよ。おまえ力強いんだし、黒子怪我しちまうかも」
「だからさっきからゆっくり丁寧にやってて、それで埒が明かないから困ってんだろうが。やっぱ思い切ってやっちまったほうが」
「あだだだだだだ! ちょ、やめて、やめてください! 痛いです!」
 黒子の必死な訴えが響く。演技だ、演技に決まっている。そう思いながらも、日向は背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。
「ちょ、火神、火神、黒子半べそだって!」
 降旗の慌てふためいた声。いや、これも場を盛り上げるために決まっている。日向は口の端がつり上がるのを無視しながら、眼鏡の位置を直した。
「わ、悪ぃ……そんなに痛かったか」
 火神がひどく心配そうに尋ねた。黒子が涙声で答える。
「うう……腰が痛いです」
「それは俺のせいじゃないような……いや、三割くらいは俺も悪いか」
「そうですね、主に僕が悪いんです。ええ、そうです、僕が愚かだったんです」
「拗ねるな。事実そのとおりなんだろうが」
「大丈夫か黒子? まだがんばれる?」
 と、そこでちゃぷちゃぷと小さな水音が聞こえた。ここはトイレだ、水の音がするのはまったくもって不自然なことではない。そう考えつつ、日向は自分の髪の毛を掴んだ。
「あの、もうちょっと濡らしてもらえませんか?」
「さっき散々ぶっかけたじゃねえか。これ以上やっても同じだって」
「もっと滑りがよくなるかもしれないじゃないですか」
「んなこと言っておまえ、ぬるぬるして気持ち悪いって文句垂れてたじゃねえか」
 なんか不穏な単語がいくつか聞こえた気がする。いや、あいつらいつももっといかがわしい言葉連呼してるし。このくらい制限速度以下の安全な通常運転だ。日向は両手の指を戦慄かせた。
「確かに気持ち悪いです。冷たいですし。でも試してみる価値はあると思います」
「まあいいけど。気持ち悪いの俺じゃないし。降旗、アレ寄越して」
「はい」
 と、降旗が何かを火神に渡したようだった。水音と湿っぽい衣擦れの音が聞こえてくる。と、唐突に黒子の短い悲鳴が上がる。
「ひゃぅ! あ、ちょ、冷た……あん!」
「そりゃ冷たいだろ」
 黒子はかなり騒いでいるが、火神は基本的に冷静なようだ。
「う~……ぬるぬるします」
「だから言ったじゃねえか」
「馴染んだところでもう一回お願いします」
「また痛い痛い喚くんじゃねえ?」
「かもしれません。でも、この状態が続くよりはましです。さあ火神くん、ひと思いにどうぞ」
「がんばれ黒子っ! 火神!」
「じゃあ……」
 火神の気の入らない掛け声。陶器の軋む音。続いて上がる、黒子の珍しい大きな声。というか悲鳴。
「あ―――――っ! や、やっぱ無理です!」
「やっぱりな」
「ふぇぇ……早く抜いてください。もう腰痛くてつらいです」
「俺も段々つらくなってきたっつーの。ここ狭いし。せめて扉開けさせてくれねえか?」
「駄目です、駄目です! そんなことして、僕をさらし者にする気ですね!?」
「さらし者にならない限り、どうにもならない気がするんだが」
 はあ、と二メートルほど離れているのに届く火神のため息。
「なあ、やっぱ誰か呼ぼうぜ? このままだとほんと腰痛めるって。火神も大変だろうし」
 傍観者的な立場にあるらしい降旗が提案する。黒子が途端に渋った声を上げる。
「ええっ、そんな、ひどいです。学校中の笑いものになってしまいます」
「そこはあれだ、影の薄さを最大活用して、みんなの目線から逃れまくれ。しばらくしたらみんな忘れるって。ただの学校七不思議扱いになるって」
「それ結局みんなの記憶に残るってことじゃないですか」
「そのくらい譲歩しろって」
 降旗が何やら説得を試みているようだ。しかし黒子は譲る気がないらしく、平行線のやりとりが続く。昼休みの残り時間と、自分の中の葛藤と相談した結果、日向は結局いつもどおりの自分の役割を果たそうと、足を進めることにした。
「おい降旗」
 やや大きめの声で呼ぶと、
「え!? あ、キャ、キャプテン!」
 驚いたらしい降旗が便座の上でバランスを崩したらしく、体が沈み顔が見えなくなる。まだ開かぬ扉の前で、日向が静かなる怒りをたたえたトーンで言う。
「性懲りもなくアホなことやってんのか? やってんだろ?」
「え、や、いや……アホといえば限りなくアホなんですけど……ちょっとのっぴきならない事態と言えるかも……?」
 びくびくと視線を泳がせつつ、降旗が個室から出てきた。逃げられる状況ではないが、多少の時間でも隠れようとせず仲間の窮状についてそれとなく言及するあたり、もしかして本当にやばい事態が起きているのだろうか。少しばかり毒気を抜かれ、不安がよぎる。日向が隣の個室に視線をやると、
「ちょ、え、ええ!? キャプテンって、僕らのキャプテンのことですか!? 日向先輩!? そこいるんですか!?」
 焦りきった黒子が彼にしては珍しいくらいの勢いでぎゃんぎゃん騒ぐ。対照的に、火神は冷静に対応する。
「らしいな。……すんません、ちょっと手伝ってほしいんすけど。あ、できればあんま体の大きくない人応援にほしい、です。小金井先輩とか」
「ちょ、火神くん、やめてください! 騒ぎを大きくしないで! 恥ずかしい!」
「そうは言われても、休み時間中になんとかしねえと、場合によっちゃ先生にバレるぞ」
「うっ……」
 黒子が嫌がり火神が平然としているところを見ると、目撃されて困るような状況に陥っているのは黒子ひとりのようだ。しかし、だとするとますます混乱する。悪ふざけをするとき、たいていふたりセット、場合によっては三人で絡んでいるというのに。
「おい、いったいどうなってんだ」
 日向がドアをノックすると、
「あ、いま開けるんで、ちょっと下がってて」
 火神が一言断ってから、鍵を開けた。
 扉が外側に向けて開かれたが、それだけでは、大柄な火神が壁になり、中の様子がまるでわからない。それは火神も理解しているようで、日向に軽く会釈をしてから、外に出ていった。黒子の、やめて火神くん僕を置いて行かないで、という悲痛な嘆願を無視して。
「……まあ、なんていうか、こんな感じになってる、です。……ます?」
 火神が示したトイレの個室の中には。
 便座の上がった便器に座り込むような格好で、すっぽり腰が嵌まってしまっている黒子の姿があった。
「ちょ、えっ、ええっ!?」
 何がどうしてこうなった。
 笑ってください、いっそひと思いに笑い倒してください! という黒子の叫び裏腹に、日向はあまりの意味不明さにしばらく言葉ひとつ出せなかった。

*****

 放課後、部活開始前の部室にて、床に例の三人を座らせ日向は仁王立ちになった。午後の授業のため、あの場では一旦解散にし、絶対に逃げるな、必ず今日部活に来いと念押ししておいた。三人は怯えながらも素直にやって来たのだった。
 火神と降旗は床に正座をし背筋を伸ばしているが、黒子は腰痛のため正座が取れず、床にうつ伏せに寝ていた。リコの見立てによると、黒子は怪我はしていないが確かに腰に痛みがあるとのことだったので、無理はさせられない。時折痛みに呻いている黒子の腰や背を、火神と降旗が労わるように交互に撫でている。その仲睦まじさにはあえて目をつぶっておく日向だった。
「トイレえっちって燃えるんですよ。制服みたいな準フォーマル的な格好をしていると、なんかオフィスラブの雰囲気が出て」
 黒子の説明によると、事のいきさつはこうだった。
 黒子がオフィスラブごっこを提案し、例によって火神と降旗が乗った。話し合いの結果、会社のトイレに相手をちょっと強引に誘い込むというシチュエーションに決め、あまり人気のないトイレを選んだ。じゃんけんの結果、黒子が火神を個室に引っ張り込む配役にした。さすがに三人は入れないので、降旗は隣の個室からのぞくことになった。黒子が火神の服の胸元を掴んで後ろ向きに個室に入り、いちゃいちゃと体を密着させつつ、あやしい言葉をささやき合った。一応シナリオがあり、覚えの悪い火神のために降旗が小声でヘルプを入れたり、アドリブを使ったりした。そんな感じで楽しく演じていたわけだが、ふいに黒子がうっかり脚をつまずかせ、尻もちをついてしまった。……のだったらよかったのだが、運悪く、あるいは確認不足が祟ったのか、便座が上がっていた。そしてそこにまともに倒れ込んだため、すっぽりと尻がはまってしまい、抜けなくなったということだった。最初は笑っていた火神と降旗も、本気で抜ける様子がないことに焦り、ない知恵を絞って黒子の救出を試みたとのことだ。普通に腕を引っ張っても黒子の肩が外れかけ危険だったので、火神が抱き上げるような格好で持ち上げようとしたり、業務用の緑色のソープの原液を黒子の腰に掛けて摩擦を少なくしたり。濡らすだのぬるぬるだのという単語は、この状況で出てきたらしい。可能な範囲で角度をずらし、火神と降旗でそれぞれ上半身と下半身を持って上へあげようというアイデアもあったが、個室の狭さから実践できなかった。この案は、その後日向の要請で応援に来た小金井と、バスケ部の中では小柄な降旗のふたりによって実現され、成功をおさめた。これにより黒子はようやく便器から解放されたのである。無理な姿勢を強いられていた黒子はすぐには歩けず、火神に俵のように担がれて保健室まで連れて行かれた。午後の授業は休むことになったという。なお、救出にひと役買った小金井は、その後二時間笑いが治まらず、黒子とは別の意味で授業を受けるどころではなかったらしい。
 ひと通り説明を受けても、いや、詳しく話を聞けば聞くほど、なんでどうしてこうなったという疑問は強くなるばかりだ。おまえらバスケやめたらお笑いの道に進むしかないんじゃないか。日向は割と真面目にそう思った。
 呆れてものも言えないというか言いたくなかったが、主将として、部の恥さらしどもに説教しないわけにはいかない。もっとも、幸い器物破損はなかったので、トイレ事件は部内のメンバーと養護教諭以外に漏れずに済んだのだが。
「学校内でいかがわしいことをするな! 部室内でなければいいと思うな!」
 以前書かせた誓約書も結局あまり意味がなかったわけだが、こうなったら校内のいかなるところでもその手の行為はしないという新たな誓約書を作成せねばなるまいと日向は考えた。
 びきびきと青筋の治まらない日向の顔を、黒子が匍匐前進のような格好になって見上げる。
「ここで言い訳をすると火に油を注ぐ結果になるのは目に見えていますが、誤解があるといけないので弁明はさせてください。僕たちはいかがわしいことは何もやっていません。オフィスラブの声真似をしていただけです。体を密着させていたのは、雰囲気作りもありますが、単にトイレの個室が狭いからです。火神くん体格いいですし。まずは僕と降旗くんでやるべきだったと反省しています。そのほうが空間が広く使え、足元にも余裕ができたでしょう」
「反省のポイントがおかしいし、第一何の弁明にもなってない! なんだよオフィスラブの声真似って! きっぱりはっきりいかがわしい!」
「服着たままですよ? それに、今回はセックスの声真似じゃないです。あくまでその手前の誘い文句が中心でした。何より、オール演技です。まさかこのメンバーでいかがわしい雰囲気になるわけないじゃないですか。男三人ですよ? ほんと、ちょっとした演劇というか寸劇です。……便器に嵌まったこと以外」
「なんでそんな演技やるんだ!」
「実演はやばいので」
「当たり前だ!」
 口応えというか、自分たちがいかに健全であるかを力説してやまない黒子と、それにいちいち突っ込みをいれ説教をする日向。両サイドの火神と降旗は、黒子の弁にうんうんとうなずくばかり。ギャラリー化した他のメンバーは概ね、黒子たちが引き起こした馬鹿馬鹿しすぎる事件に容赦なく笑っていた。現場を知っている小金井は、思い出し笑いが止まらないようで、床を拳で幾度も叩いていた。水戸部だけが、困った表情でおろおろしていた。
 この日も、誠凛高校男子バスケ部は平和だった。

 

PR

× CLOSE

× CLOSE

Copyright © 倉庫 : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]